chapter 21~ chapter 21 “養女” ~ 父と兄の居る家に戻って生活をしていたある日の朝、 学校に行こうと制服を着て下に降りると父が私を呼んだ。 伯母の知り合いに子供の居ない夫婦が居るという。 そしてその夫婦が、私を養女にどうかと言っているのだと言う。 「お前にその気はあるか?」と父が私に聞いた。 “私を養女に・・・・。” ショックだった。私はこの家に居たら邪魔なのだと思った。 お金がかかるから?面倒見てくれる人が居ないと生きれないから? お父さん1人では、私の面倒を見切れないから? 私は他の家の娘にならなくちゃいけないの? 「少し考えてみる。」と妙に冷静に答えていたが頭の中はパニックだった。 その証拠に、通学途中の駅で友達に会った途端、気持ちが緩んで涙があふれた。 “私はこの家に居てはいけないのだ。 私はいらないのだ。邪魔なのだ。 知らない夫婦の所へ行かなければいけないのだ・・・。” 養女になるという事はどういう事か考えた。 高校生の娘を養女に、と言うからには純粋に子供が欲しい訳ではないだろう。 そうであればもっと幼い子供を求めるはずだ。 それは老後を看て欲しいという事ではないだろうか。 知らない夫婦を今後 親として、老後も面倒を見る・・・・。 私にそれが出来るだろうか。 そうしたら将来、看たくても自分の本当の親を看る事は出来なくなるのだろうか。 それに、もしも結婚したいと思う人が一人っ子だったら?長男だったら? 私が将来、面倒を見るのはこれから親になる夫婦だ。 それが叶う相手を、お見合いでもして見つけることになるのだろうか。 私はまだ彼氏すら居ないのに自分の結婚について必死で考えた。 それはあまりにも重過ぎた。 そんな先の事まで考えても答えが見えるはずがなかった。 その結果、なんとか出した答えはこうだった。 「その人達に会ってみたい。」 父と伯母に連れられ、伯母の知り合い夫婦の家に行った。 夫婦は2人とも優しそうでいい人そうだった。 “でも・・・・。”会ってみても決心はつかなかった。 決心のつかない状態で、そんな重要な事を決めてはいけないと思った。 それでも返事をしなければならなかった。 「会ってみて、いい人達だなぁとは思ったけど まだこの年で、そんな将来の先の事まで考えられないから 出来れば今のままで居たいんだけど・・・・・。 私は、この家に居ちゃ、だめなの?」 これを父に言うのにどれだけ勇気が要ったか。 父は「お前がここに居たいなら、今まで通り居てもいいんだよ」と言った。 とりあえずホッとした。それでも私は傷ついたままだった。 ◆chapter “養女”について(日記) へ ◆chapter 22 へ |